LINE公式アカウントだけで常連管理はできるか — できること・できないこと
すでにLINE公式アカウントを運用しているお店から「これで十分では?」とよく聞かれます。配信・ショップカード・チャットでできることを整理したうえで、友だち追加の手間、ブロック率、来店記録が自動では残らないという3つの構造的な限界を、公開データをもとに正直にまとめます。
執筆: 水野亮人
「LINE公式アカウントがあるから、それで十分では?」
会員証やポイントカードのご相談をいただくと、かなりの確率でこの質問が返ってきます。すでにLINE公式アカウントを運用していて、友だちも数百人いる。それなら新しい仕組みは要らないのではないか、と。
結論から言うと、LINE公式アカウントは「お客様に情報を届ける」ことに関してはとても優秀です。一方で「誰がいつ来店したか」を記録することには向いていません。この2つは別の問題で、片方が得意でも、もう片方が自動的にできるようにはなりません。
この記事では、LINE公式アカウントでできることを一度きちんと整理したうえで、構造的にできないことを3つ挙げます。どちらかを選ぶ話ではなく、何をどちらに任せるかの話として読んでいただければと思います。
まず、LINE公式アカウントでできること
限界の話をする前に、できることを正確に押さえておきます。小さなお店にとって、十分な機能が揃っています。
- 友だちになったお客様へのメッセージ配信(全員への一斉配信も、属性を絞った配信も可能)
- ショップカード機能によるポイントカードの発行。紙のカードを刷る必要がなくなる
- チャットでの個別のやり取り。予約の確認や問い合わせ対応に使える
- クーポンの配布と、使用状況の確認
特にショップカードは、LINEヤフー株式会社の公式解説でも「無料のポイントカード」と説明されており、追加費用なしでポイント運用を始められます。紙のスタンプカードを刷り直すコストと比べれば、これだけでも導入する価値があります。
実際、来店頻度が高くて配信を読んでもらいやすいお店であれば、LINE公式アカウントだけで十分に回ります。以下に挙げる限界は「すべてのお店にとっての欠点」ではなく、「条件によっては効いてくる制約」として読んでください。
限界① 友だち追加をしてもらう必要がある
LINE公式アカウントの機能は、ほぼすべて「友だち追加」が前提になります。ショップカードも例外ではなく、LINEヤフー株式会社の公式解説に「ユーザーがショップカードを利用するには、LINE公式アカウントを友だち追加する必要があります」と明記されています。
レジ前でお客様にお願いする内容を分解すると、スマホを取り出す、LINEを開く、コードを読み取る、友だち追加をタップする、という手順になります。慣れた方なら十数秒ですが、「あとでやっておきます」と言われてそのままになることも珍しくありません。
そしてこの手間は、お客様が「このお店の通知を受け取ってもいい」と判断してくれた場合にだけ成立します。お客様に判断を求めている、という点が本質です。
限界② ブロックされると、そこから先は届かない
友だち追加をしてもらえたとしても、その状態が続くとは限りません。
株式会社ソーシャルPLUSが2024年8月に公開した調査では、同社がサポートしているLINE公式アカウント(友だち数1,000未満のアカウントは対象外)のブロック率は、平均値29.7%、中央値27.0%と報告されています。
3割前後の友だちには配信が届いていない、という前提で運用を設計する必要があるということです。しかもブロックは通知されませんし、誰にブロックされたのかも分かりません。友だち数が増えていても、実際に読んでいる人がどれだけいるかは別の話になります。
配信頻度を落とせばブロック率は下がりますが、今度は接触機会が減ります。ここは構造的なトレードオフで、運用の工夫だけで消せるものではありません。
限界③ 来店記録は、店頭で操作しないと残らない
3つ目が、常連管理という観点では最も大きい制約です。
LINE公式アカウントが標準で持っているのは、友だちの数、配信を開いた数、クーポンが使われた数といったデータです。来店そのものは、ここには自動では現れません。
ショップカードを運用すれば来店の記録は残せます。LINEヤフー株式会社のマニュアルにも、ショップカード分析で「来店ポイント」や付与ポイントの合計を確認できると記載されています。ただしそのためには、来店のたびに店頭でポイントを付与する操作が必要です。ショップカードはLINE上のカードなので、お客様側にもLINEを開く動作が発生します。忙しい時間帯に「ポイントは大丈夫です」と言われれば、その来店は記録に残りません。
結果として「配信は届いているのに、その人が来ているのかは分からない」という状態になりがちです。前回いつ来たのか、そろそろ来なくなりそうなのかを判断する材料が、手元に溜まっていきません。
「届ける」と「記録する」は別の問題
ここまでを整理すると、LINE公式アカウントは「届ける」側の道具です。届け先のリストを持ち、メッセージを送り、クーポンを配る。この用途では代わりになるものが多くありません。
一方で「記録する」側、つまり誰がいつ来たかを取ることは、別の仕組みが担当したほうが素直です。両方を1つのツールで賄おうとすると、どちらかに無理が出ます。
TAGPPIはこの「記録する」側に振り切ったサービスです。お客様はお店で受け取ったキーホルダーを自分のスマホにかざすだけで会員になります。友だち追加もアプリのインストールも必要ありません。
来店の記録は、会計時などに「お店のスマホ」へキーホルダーをタッチし、ポイントを加算した時点で残ります(Businessプランの機能です)。お客様の操作はキーホルダーを差し出すだけで、スマホを取り出す必要も、何かを開く必要もありません。
ここで残るのは「お店の端末に触れた」という事実です。自己申告でも、アプリの起動履歴でもありません。誰がいつ来たのかが、操作の副産物として自然に溜まっていきます。
LINE公式アカウントをやめる必要はありません。配信はLINE、来店の記録はキーホルダー、という分担のほうが、それぞれの得意なことに沿っています。
LINE公式アカウントだけで十分なケース
次のような場合は、無理に別の仕組みを足す必要はないと思います。
- 来店頻度が高く、配信を読んでもらえている実感がある
- 友だち追加をお願いすることに、店側もお客様も抵抗がない
- 誰がいつ来たかまでは把握しなくても、運営が回っている
- 配信数が無料枠の範囲に収まっていて、費用が発生していない
TAGPPIが向かないケース
逆に、TAGPPIを導入しても効果が出にくい場合も正直に挙げておきます。
- 客層の多くがスマートフォンを持たない、または日常的に持ち歩かない
- 来店頻度がもともと年1回程度で、来店記録を取っても次の打ち手に繋がらない
- 情報を届けることが主目的で、来店の記録には関心がない
- 会員化より先に、新規のお客様を増やすことが優先度として高い
特に3つ目に当てはまる場合、TAGPPIを足しても解決する課題がありません。LINE公式アカウントの運用を磨いたほうが早いと思います。
まとめ
LINE公式アカウントは「届ける」ことに優れた道具で、小さなお店にとって十分な機能が揃っています。一方で、友だち追加という入口の手間、3割前後というブロック率、そしてポイント付与などの店頭操作なしでは来店の事実が残らないという3点は、運用の工夫では埋めにくい構造的な制約です。
大切なのは、どちらが優れているかではなく、自分のお店で足りていないのが「届けること」なのか「記録すること」なのかを切り分けることだと思います。前者ならLINE公式アカウントの運用を見直すのが近道ですし、後者なら別の仕組みを検討する価値があります。
TAGPPIは、アプリのインストールも会員登録も不要で、キーホルダーを渡すだけでお客様が会員になるサービスです。無料プランでは会員ページの表示までを、来店の記録とポイントはBusinessプランでご利用いただけます。まずは仕組みだけでも確認してみたい方はご覧ください。
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