美容室の新規リピート率、平均はどのくらい? 一度きりで終わる理由と分かれ目になる来店回数
新規のお客様が次の来店につながらないというお悩みは、美容室のオーナー様からよく伺います。公開されている消費者調査とPOSデータをもとに、新規客が離れる実態と、定着の分かれ目になる来店回数を整理しました。
執筆: 水野亮人
「新規のお客様が、また来てくれるだろうか」という不安
新規のお客様に来ていただいても、次の来店につながらないというお悩みは、美容室のオーナー様からよく伺います。技術やカウンセリングに手応えを感じていても、次回予約や再来店につながらないと、何が足りないのか分からず不安になるものだと思います。
実際、新規のお客様の多くは一度きりで終わっているという調査結果があります。ここでは公開されている消費者調査とPOSデータをもとに、何が起きているのかを整理します。美容室に限らず、ネイルサロンや整体・接骨院など、施術を伴う対面サービス業に共通する悩みだと思います。
新規のお客様の8割以上が「一度きり」で終わっている
株式会社ファンくるが実施した「リピートされる美容室についての消費者調査」(2025年12月26日発表、ファンくる会員943名〔男性207名・女性736名〕対象)によると、美容室の利用で「1回きりで終わった」経験があると回答した人は82%にのぼりました。10人のうち8人以上が、一度利用した美容室に二度と行かないまま終わっているという結果です。
同調査でリピートしなかった理由として最も多かったのは「仕上がりへの不満」で51%でした。技術面が最大の要因であることは事実ですが、裏を返せば残り半数近くは、技術以外の理由で離れているとも読み取れます。新規のお客様を集めるための広告費や紹介の手間を考えると、この「一度きり」の割合が高いままでは、集客を続けても手元に残るお客様の数がなかなか増えていかない構造になってしまいます。
「再来店を促す施策」自体が届いていないという実態
同じくファンくるが実施した「再来店を促す『店舗施策』についての消費者調査」(2025年12月26日発表、同じくファンくる会員943名対象)では、美容室を利用しなくなったお客様のうち69%が「お店から再来店を促す施策を受けていない」と回答しています。技術や接客に不満がなくても、次の来店を後押しする一言や案内がなければ、そのまま離れてしまう可能性があるということです。
同調査では、再訪のきっかけとして「クーポン・割引」が有効だという結果も示されています。まずは「もう一度来る理由」を用意することが、次の来店につながる一歩になりそうです。
分かれ目になるのは「3回目の来店」
株式会社タカラベルモントのPOSデータをもとにした、株式会社日本政策金融公庫の経営アドバイス資料(澗口富士夫氏執筆、2009年)では、新規のお客様のうち3回来店した人の割合は平均30%、そして3回来店したお客様の90%はその後も継続して来店しているという結果が示されています。
つまり、最初の2回をどう乗り越えて3回目にたどり着いてもらうかが、その後の定着を大きく左右するということです。1回目で終わるか3回目にたどり着けるかで、その先の景色は大きく変わります。逆に言えば、1回目と2回目のフォローに力を注ぐことが、遠回りに見えて一番効率のよい対策になります。
記録が残っていないと、次の一手が打てない
紙のスタンプカードや口頭での管理では、「このお客様が何回来店したか」「前回いつ来たか」を後から正確に追うのは簡単ではありません。3回目が分かれ目だと分かっていても、目の前のお客様が何回目なのかを店側が把握できていなければ、声をかけるタイミングを逃してしまいます。
スタッフが複数いる店舗であれば、なおさらです。担当者の記憶だけに頼っていると、シフトによって声かけの有無にムラが出てしまいます。誰が対応しても同じように来店回数が分かる状態を作ることが、施策を実行に移すための土台になります。
今日からできる3つのこと
- 会計時に、次回の来店の目安(期間・メニュー)をひとこと添える
- 1〜2回目のお客様には、通常より少し丁寧なひと声をかける
- 来店回数と最終来店日だけでも、何らかの形で記録に残す
3つとも特別な準備は要りませんが、「記録に残す」だけは、仕組みがないと後回しになりがちです。まずはノートやスプレッドシートでもかまいませんので、来店のたびに一行でも書き残すところから始めてみてください。
まとめ
新規のお客様の8割以上が一度きりで終わり、離脱した方の7割近くが再来店を促す働きかけを受けていない。一方で、3回目の来店にたどり着いたお客様の9割は、その後も継続して来店している。ここまでの調査結果を並べると、勝負は技術力だけでなく、最初の2回をどう丁寧にフォローするかにかかっていると言えそうです。
そのためにまず必要なのは、大がかりな仕組みではなく、「このお客様は何回目か」「前回いつ来たか」を、誰でもすぐに分かる状態にしておくことだと思います。
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